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安楽死特区

劇場公開日:2026年1月23日

解説・あらすじ

「夜明けまでバス停で」の高橋伴明監督が、安楽死を題材に描いた社会派ドラマ。

「安楽死法案」が可決された近未来の日本。国家戦略特区として、安楽死を希望する者が入居しケアを受けられる施設「ヒトリシズカ」が開設されたが、倫理と政治の最前線で物議を醸す存在となっていた。難病を患い余命半年を宣告されたラッパーの酒匂章太郎は安楽死法に反対しており、パートナーでジャーナリストの藤岡歩と共に、特区の実態を内部告発することを目的に「ヒトリシズカ」に入居する。施設には、末期がんに苦しむ池田とその妻・玉美、認知症を抱える元漫才師の真矢など、さまざまな境遇と苦悩を抱える入居者たちが暮らしていた。彼らとの交流や医師たちとの対話を通じて、章太郎と歩の心は少しずつ変化していくが……。

「『桐島です』」の毎熊克哉が章太郎、「夜明けまでバス停で」の大西礼芳が歩を演じ、平田満、筒井真理子、余貴美子、加藤雅也、板谷由夏、下元史朗、奥田瑛二、友近、鈴木砂羽が共演。医師・作家の長尾和宏による同名小説を原作に、「野獣死すべし」などの丸山昇一が脚本を手がけた。

2025年製作/129分/G/日本
配給:渋谷プロダクション
劇場公開日:2026年1月23日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
高橋伴明
原作
長尾和宏
脚本
丸山昇一
製作総指揮
長尾和宏
製作
小林良二
プロデューサー
小宮亜里
高橋惠子
撮影監督
林淳一郎
撮影
西村博光
照明
豊見山明長
録音
臼井勝
美術
黒瀧きみえ
装飾
鈴村髙正
島村篤史
ヘアメイク
佐藤泰子
スタイリスト
野中美貴
VFX
立石勝
衣装
津田大
江口久美子
編集
佐藤崇
音楽
林祐介
助監督
毛利安孝
野本史生
稲葉博文
スクリプター
阿保知香子
音楽プロデューサー
和田亨
ラインプロデューサー
藤原恵美子
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映画レビュー

3.5 幸いなことに死んでもいい辛さがない今だから冷静に観れる映画

2026年3月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 毎熊克哉演じる難病のラッパーと多分gbというアーティストが、マンダラな仏教フレーバーを効かせた病人ラップをゆったりと披露して幕開け。

 病苦からの自由、死ぬ自由という患者の権利を、国家がおいそれとは与えられないのは当然…とばかり思ってきたが、この映画はそこの観念を逆転させてくる。
 近未来日本が、安楽死の解禁へ向けて特区を設け国家プロジェクトを推進、ヒトリシズカなる施設を建設し応募者を選考の上で収容開始する。
 そこではスーパードクターの加藤雅也も、妻には罵声を浴びながらDr.キリコへと鞍替えしている。彼自身の内的動機は明かされない。模索してんだよ、が唯一言明ありましたね。

 ラッパーは女性記者とチベット仏教だかも共に現地修行した仲で、国家主導の安楽死推進への批判的立場からペアで内部潜入に成功する。この辺のキャラはよく分からんところ大でしたけどね。

 光る地球儀だかを売る仕事に40年就いてたという平田満と筒井真理子のチキンレース夫婦、友近との漫才コンビで三味線を弾き、ボケ倒しすぎて本当にボケたら大切な思い出を守れるかが心配な余貴美子が30代ペアの間近な入居者達である。

 奥田瑛二が久方ぶり普通に話す役、加藤雅也も普通のセリフ量話す役でどこかほっとするが、与えられた二人の役割はつまるところ入居者本人の死にたい気持ちを認容できるか聴き取り幾人かと合議するというもので、タフな重職であり、内圧がキツいことは間違いない。
 焼肉のメンツには笑った。三人ともネギ載せて頂いてましたね、彼女が一番しっかり派で。

「あくまで自死」というチョケにくいテーマを扱いながら、どうかかしこまり過ぎないで若いうちから議論の扉を開けていこうとでも訴えるかのようなカオスな葬列兼踊るデモ隊で見送るセミファイナルは嫌いじゃない。

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3.0 大変興味深いテーマではあったが…

2026年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

何か今ひとつ物足りなかった。
掘り下げが足りないというか、自分が期待した内容ではなかった気がした。
このテーマを2時間で取り扱うのは難しかったか。
最後のラップとダンスパフォーマンスもこの作品のテーマには明らかにそぐわない。
一体あれは何が言いたかったのだろうか。

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5.0 深刻と不謹慎を超えて

2026年2月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2025年。高橋伴明監督。安楽死法案が成立した架空の日本。怪しい特区に潜入ルポして真実を見極めようとする難病のラッパーとその恋人のジャーナリスト。取材を進めるうちに、自身も安楽死に傾いていくラッパー、という話。
チベット仏教のラッパーという主人公像が強烈で、これは原作を読んでみなければと思って読んでみたら、やはりこの設定は独自のものだった。小説は別の形でまた過激なものだったが、映画は映画としてとても面白かった。描き方によって深刻になりすぎたり、逆に不謹慎な悪ふざけになりすぎたりする題材を、ラップの存在によってユーモア/ペーソスの領域に持ち込んでいる。申告じゃなくてペーソス、不謹慎じゃなくてユーモア。すばらしいと思います。
医師側の思惑や事情も丁寧に描かれていて、多様な視点を提示しながら映画としての物語性を失わない姿勢に好感を持ちました。

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3.0 安楽死−−提起した問題が大きすぎ 日本の風土にもなじまない感じ 結局 近未来SFみたいになってしまうの巻

2026年2月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

安楽死−−そう言えばそんなテーマの劇映画を以前に観たことがあったよなと思い出し、調べてみたら、3年ほど前に『すべてうまくいきますように』というフランス映画を観ておりました。名匠フランソワ•オゾンが監督を務め、ソフィ•マルソーが主演で安楽死を希望する高齢の父親に振り回される娘を演じており、監督、主演の組合せから、一定以上の水準は約束されたような作品だなと思って観たのですが、その通りでなかなかの良作でした。こちらでは、フランスではまだ安楽死が違法であることが示され、主人公の父親はそれが合法的に実施できるスイスの施設に行くことを希望します。物語の中心にあるのは最終的な安楽死ではなく、それまでの一般の市民としての世俗にまみれたゴチャゴチャのほうで、それなりのリアリティが感じられて面白かったです。一方、この『安楽死特区』では近未来の日本で「国家戦略特区」にある、安楽死を願う人々をケアする架空の医療施設「ヒトリシズカ」で物語の重要な部分が展開され、作品にどこか近未来SFのようなファンタジー感が漂います。

過度の一般論は禁物ですが、日本人には個人が自由に裁量して何かを決めてゆくのにあまり積極的ではない印象があります。30年以上前、当時の私の職場でフレックス制を導入したことがありますが、積極的に活用する者がおらず、制度そのものが有名無実化してしまいました。「選択的」に「夫婦別姓」を自由に選ぶことができるという考え方もあまり議論が進んでいるようには思えません。ましてや安楽死の問題においてをや、という感じで、今年で古希に到達する私の周辺でも、既に親を看取った人が多くおり、早逝した友人などもいて「死」について考える機会もあるのですが、自身がどうするかというのも含めて安楽死が話題に登ったことはありません。まあこういうのは、人それぞれ固有の死生観とか、個人的な体験による部分が大きいと思いますので一概には言えないとは思いますが。

この作品では上記の施設「ヒトリシズカ」に入居している安楽死予備軍みたいな人たちとそれぞれの関係者、施設の医療チームのメンバーたちの人間模様が描かれます。物語の中心にいるのは、難病を患い余命わずかと宣告されたラッパー(演: 毎熊克哉)とそのパートナーで安楽死に反対しているジャーナリスト(演: 大西礼芳)でふたりとも30代後半のような感じ。他の施設入居者がそれなりに人生を長くやってきたと思われるのに対して彼らは若く設定されており、ここらに話のポイントがあるのかなといったところです。昔から映画で散々見てきた難病•余命あとわずかのラブストーリーと比べると新鮮な感じはありました(そういった作品ではなぜか女性が余命あとわずかになる場合が多く、ここでは男性が……といったところに起因しているのかもしれませんが)。まあでも、この物語の核はどこにあるのよ、と訊かれたら、うーん、この世には安楽死という考え方もあるんだよ、という問題提起かなあ、とぼんやりした答えになりそうです。あと、私はそんなに熱心なラップ•リスナーではないのですが、本篇のラップのキレがもうひとつという印象を受けましたし、ダンスシーンがあるのですが、そちらもちょっとダラっとした感じで、演出が全般的にメリハリもなければ締まりもないと感じました。このあたりはテーマが重たいので狙ってそうして諧謔味を出しているのかもしれませんが。

ということで、「安楽死」の3文字を劇映画の世界に持ち込んで問題提起した意義は十分にあるとは思いますが、私にはあまり刺さらなかったかな。欧州では安楽死を認めている国、そうでない国がまだら模様のようになっていると聞いていますが、日本で作られたこの作品にある種の「生煮え感」を感じでしまったので、安楽死を正面きって扱った欧州のどこかの国の映画を観てみたいと思っています。

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