劇場公開日 1959年11月17日
浮草のレビュー・感想・評価
全26件中、1~20件目を表示
3.0お互いの顔の見える“人力”的情報の遣り取りに考えされられて…
余り有名ではないのかも知れないけれど、
なにせ小津映画ではあるので
初鑑賞してみた。
尚、この作品は彼自身の「浮草物語」を
再映画化したものとのことだった。
作品冒頭での第一印象は、
こんな時代があったんだなぁ、との感慨。
興行を打つ方も観る方も“人力”。
喧伝するチンドン屋もチラシ配りも“人力”、
また、それについて行く子供達も、
チラシを直接受け取る大人達も“人力”で、
情報の遣り取りは、
お互いに顔の見える人間同士の
ダイレクトな関係だ。
現代のネット社会とは隔絶の世界で、
どちらが正しいということではないかも
知れないが、考えさせられるばかりだ。
また、建築的には昔の家屋は庇の出が
かなり大きく、
雨の時でも窓は開けっ放しに出来る
だけではなく、
その庇の下での夫婦喧嘩も可能とする描写
にも大変驚かされた。
さて、ストーリー的には、
座長が、亡き座員の娘が自分の息子との恋愛
に異常な反発を見せたので、
よもや、その娘も実は自分の血筋で、
つれあいの女もそれを知った上で、2人を
結びつけようとする恐ろしい企みなのかな、
結末がどうなるのかな、
と、ドキドキしながらの鑑賞となったが、
結局はそうでは無かった。
座長の2人の恋愛否定には、娘の亡き父親への
想いがあったのだとしても、
彼女はいずれは
誰かと婚姻しなければならないはずだし、
ましてや大切な娘であるのなら、
相手が自分の息子ならば
喜ばしいと思うはずなのだが、
何か映画では描き切れなかった別の理由が
あったのか、私には分からなかった。
そこまでの理由ではないのだとしたら、
あの異様な拒否反応としての演出・演技は
どうなのだろうと、
珍しく小津演出への疑問の湧く
作品となった。
4.0オリジナルは超えられず・・・‼️
今作は戦前の小津安二郎監督の名作「浮草物語」のリメイク‼️ストーリーはオリジナルと大体同じなんですが、今作はカラーとなり、中村鴈治郎さん、若尾文子さん、京マチ子さんという豪華キャスト‼️ただやはり私はオリジナルの方が圧倒的に好きですね‼️今作はしがない旅役者の人生の哀歓が多少希薄になったというか、不況を生き抜く庶民の人間関係がオリジナルほどは上手く描けてない印象があります‼️まぁ、それでも今作は今作で秀作ではあるんですけれども・・・‼️
4.0激しい言葉と感情の応酬
Blu-ray(4Kデジタル修復版)で鑑賞。
オリジナル版(浮草物語)は未見。
小津安二郎監督が大映で撮った唯一の作品。笠智衆や杉村春子と云った小津組の常連俳優の中に、中村鴈治郎、京マチ子、若尾文子ら大映俳優が加わっていて、画面に新鮮味があった。
本作も家族の物語ではあるが「東京物語」などとは違って、かなりドロドロしている。
旅芸人一座と云うのも擬似的な家族と見ることが出来そうだ。悲喜交々なドラマが面白い。
小津映画では珍しく、激しく感情が動き、強い言葉を応酬するシーンがあって驚いた。
2.0面白くない
小津安二郎&京マチ子ということで期待したが。あまりの退屈さに寝た。
3.5鴈治郎
この時代のスターにあるようなルックスもスタイルも迫力も持ち合わせているようには見えない。それでもこの配役を得るのは看板以上のものがあるのだろう。ずんぐりとした体型にどっしりした和服の着こなし。息子の相引きを目撃した時の顔といい、京マチ子にキレるシーンといい演技の幅はあって芝居を支配する。ポスターは京や若尾に川口浩であるが。それにしても相引きシーンが多くて、川口の陰謀ではないかなどと訝しむ。
2.5夕立の雨宿りをしながら罵倒し合う場面が印象的
今まで観たことがなかったけれど、中々面白かったです。
座長を演じた二代目中村鴈治郎さんが人間臭くて良かったです。京マチ子さんと鴈治郎さんが、軒下で夕立の雨宿りをしながら罵倒し合う場面が印象的です。
鴈治郎さんの旅先の古女を、枯れた感じで演じた杉村春子さんも凄く良かった。
鴈治郎さんと京マチ子さん、鴈治郎さんと杉村春子さん、若尾文子さんと川口浩さんの各々の対話の場面は、向かい合う2人を正面から細かく切り返すウエストショットの連続。
単調な撮影手法なのに、不思議と動きがあるように見えてしまう。
男と女の本性が、段々に剥き出しになっていくような感じで、小津安ニ郎監督がこんな演出を撮影でしていたことに驚きました。
無口な役の川口浩さんがハマって、他の若尾さんとの共演映画とは一味違う恋愛描写になっていました。
この時の若尾さんは、演技と可愛らしさとのバランスが良くて、私は一番好きな時期かもしれません。
旅芸人達が入り浸る売春宿でのやり取りが何度もあって、これは飄々としながらシニカルで良かったです。
お話しの展開として、結構大きな出来事が連続するのは、小津監督の映画ではあまり記憶がありません。
しかし、鴈治郎さんと京マチ子さんが縒りを戻して、桑名での再出発のために一緒の汽車で向かう場面は良いエンディングで、こういうまとめ方も有りだな、と思いました。
3.5ラストが泣けるね
杉村春子が珍しく良い役。
5.0隙間に寂しさがある
小津と言えば低い位置の固定カメラ、なイメージが強かったが、こちらはそこまで低くもない。むしろ見易い。
当時旅芸人の立場が随分と低かったのだろうことは分かる。
そんな時に公的機関郵便局に務めるなんて、そりゃあもうご近所さんでも評判のエリート扱いだ。
お前らとは人種が違う、と罵倒されたすみこが腹を立てて企てる訳だが、なんて酷いことを言うのだと鑑賞してても思ったものの、実の父だと言い出せないあたり、誰よりも罵倒した当人が己を恥じているという悲しさがある。
しかし描き方は俺だって辛いなど喚きもせず。
カメラは少し距離を置く。言葉にはしないけれども、眺める空間や影に寂しさが漂っている。
美しい。胸に迫るものがある。
それぞれみな胸に抱えるものがあっても、日々はあっけらかんと軽口を交わして過ごしていく。それが大人というものだろう。いちいち説明しなくても、互いにあなたの辛さは分かっていますよ、という心の触れ合いのようなものがそこにはある。
誰もが我慢を強いられた時代だったからこそ、他人にも寛容だったのかもしれない。
4.5赤と言う色彩
赤と言う色の切なさ、艶やかさ、まるでピート・モンドリアンの絵画のよう。演技と言うものが何を意味するか全編に渡って教示してくれる作品。揺るぎの無い傑作、隙の無い完成品。ただただ美しい❗
3.0昭和レトロが堪能できる映画
昭和の雰囲気たっぷりで、レトロ好きにはたまらない映像。
今見ると少し演技が大袈裟だと感じるけど、その違和感を差し引いても良かった。
純文学を映像化したような作品。
3.0夏の時期に見るにはピッタリな情緒的作品。南京豆=落花生
内容は、伊勢志摩に興行にくる一座とそれを取り巻く人々との葛藤・慟哭・情緒・疑心・運命・宿命・軋轢・後悔・愛情をリメイクしカラー映像作品に表現した作品。好きな言葉は『ヤクザな親なら無い方がましや!』旅の一座で12年振りな夫婦水入らずの時の自身の子供に対する親の気持ち。寂しさの中にも諦観と、曲げられない自身のこだわりが感じられる。『どんなええ芝居したかてこの頃の客にはわからんわい』久しぶりの息子と話する場面は、観客と映像作品作りに励む立場の違いと時代の流れを感じられる。『丸橋忠弥なんて全然社会性あらへんやないか。今の世の中との繋がりや。』親子水入らずで釣りしている時の会話はクリエイティブに生きる人がその時大切にしたかったテーマなんだろうな。浮草のテーマである流れ者一座の業の深さと運命的な出会いや映像が見るたびに気付く事があり面白い。好きな場面は、旅の一座が初公演で国定忠次の後引き幕の後ろから客席の入りを覗いてる三人に対して注意する女の人とセットの地蔵が手前に置かれている事で、壁に耳あり障子に目ありみたいに感じられ上手い演出だなと感じる。その他にも冒頭の白い灯台と柿色の一升瓶と赤い郵便ポスト📮の対比はこれから起こる物語の関係性を示している所は素晴らしい。見れば見るほど恐ろしいほど練り込まれた作品にはカラーで見れば余計に伝わってくるものがあります。映像美もさることながら杉村春子の表現力は半端ない数々の小津作品に参加されてますが、この作品が一番印象に残りました。脇役でありながら絶対的な存在感と血に根をはった伊勢志摩にある目印の灯台の様で安定感のある表現に釘付けになります。庭から眺める鶏頭の赤。サルビアの赤。干してる鯉のぼりの赤🎏大雨の中の傘の赤。最後の場面で夜汽車のテールランプの闇に光る赤。煙草の光の赤。郵便局の赤。口紅の赤。闇夜に光る提灯の三つ巴の紋様の赤。夏の船の修理場🚢に見える船の吃水線の赤。夏の暑さにはスイカの赤。かき氷🍧のシロップの赤。青と赤の対比や自分的には、時折上から降ってくる花吹雪の白い色が色んな思いを呼び起こされる様で感銘うけました。タイトルの浮草は、根無草とも呼ばれ秋になると休眠し海底に沈み春になると再び水面に出てくる『無き者草や鏡草』と呼ばれこの映画の旅の一座やそれに纏わる人々の心境を表す表現は味があって好きです。カラーを意識した作りに目を見張る映画でした。終幕付近に『親子3人で暮らそうか?!』と口にする主人公は自分では生き方も変えられない事が分かっていて自分に嘘をつく表現と嘘と理解した上で『ありがと、ありがと』という杉村春子の本音と諦めに思える表現は、今の歳になって解ってくる深い表現を発見した様で辛いですが面白い作品です。
4.5若尾文子様と小津監督作品
素晴らしい。それぞれのショットも美しい。
昔懐かし旅芝居、若尾文子さんの可愛らしさ。
俗っぽさも味方につける、小津監督の見せ方は芸術でしょう。
主にストーリーとして旅芝居の親方を中心に周りを取り巻くように進んでいく。
登場人物というものに観客は感情移入していくものだが、これは親方に感情移入出来なければ、少々腹立ちを覚えるだろう。
そんな身勝手な親方の愛情のもつれによる心情の移ろいを描いたものだ。
私は最終部分まで腹立たしく思っていた口だが、最後はホッと切なくなった。
可愛いおなごに惚れられて、羨ましい限りです。
4.0小津作品で一番好きかも
小津作品では異色のキャスト。
だからこそ、わかる小津安二郎の凄さ。
中村鴈治郎、京マチ子はじめ、役者達も良い。
5.0杉村春子の為の映画 彼女の凄さ、日本一の女優である理由が存分に示さています
松竹でなく大映作品です
前年1958年の彼岸花で大映のトップ女優山本富士子を松竹が借りた、そのバーターで小津監督が大映で撮影した作品とのこと
なので本作では彼女以外の残る大映のトップ女優が出演します
もちろん中村鴈治郎は当時大映専属です
山本富士子に並ぶ大映の看板女優となれば若尾文子
そして大映の最終兵器、数々の海外映画賞受賞に輝くグランプリ女優の京マチ子です
となれば京マチ子がヒロインで、若尾文子がその対抗軸と勝手に思い込んでしまいますがさにあらず!
実は本当のヒロインはなんと杉村春子です
京マチ子35歳、若尾文子25歳、杉村春子53歳
京マチ子は女性が最も美しくエロチックである年齢のピークにあります
若尾文子は若くピチピチしています
しかし、杉村春子はこの二人を向こうに回してヒロインとして君臨しているのです
最も駒十郎を愛しており、彼の本質を理解をしているのは彼女です
それを何気ない演技で完全に伝え納得させる凄さ
駒十郎が彼女の家で酒を呑んでいるシーンで、彼女は呑んでいる本人が徳利に酒が無くなっていることに気付く前に徳利を差し替えに行って酌をすすめます
彼から妬いているのかと問われても、平然と聞き流す時の表情
そして「お父さんなら、また旅に行きなはった」と悲しみをこらえてこのままでええんやと伝える表情
その上、彼女は駒十郎とすみ子が結局どうなるかまで見通しているのです
役への理解、登場人物の関係性への洞察力
杉村春子にしかできない至高の演技力だと思いました
日本一の女優とは誰か?
森光子でも、山田五十鈴でも、高峰秀子でも、田中絹代でも、原節子でも、岡田茉莉子でも有りません
それはこの杉村春子です
本作は杉村春子の為の映画です
彼女の凄さ、日本一の女優である理由が存分に示されています
盆提灯の青白い灯りと彼岸花の赤の対比は溜め息の出る美しさです
ラストシーンも蒼い闇夜の中に走り去っていく列車の二つ並んだ赤い尾灯でした
前作の彼岸花からカラー撮影となり、計算され意図的な演出として各シーンに配置された赤い小道具の使い方は大変に有名です
それは、本作でもポストや郵便局の自転車などが暗示しているように演出の一環として継承されています
舞台は旅芸人の一座が連絡船で村に来る冒頭のシーンを観るとどうも三重県志摩市浜島の辺りの設定のように思います
近鉄の終点賢島駅から西に15キロ程ですが、当時は山を抜ける道路事情が悪く陸上交通では恐ろしく時間がかかったようです
賢島から連絡船が今も出ています
今は車ですぐです
ミキモトパールの養殖の本拠地のため、昔から裕福な漁村で温泉もでて温泉街もありますから、旅芸人の一座が来てもおかしくはありません
伊勢海老などの海の幸を贅沢に使うご馳走をだす立派なホテルや旅館が今も幾つか有ります
海にせり出すようなテラスから太平洋が夕焼けに真っ赤に染まるのを眺められて最高のひとときを過ごせました
この辺りは伊勢ではなくて、志摩地方が正しい呼び方です
小津監督はここと同じ三重県の出身ですが、松坂市ですので、北に60キロも離れた伊勢地方の方になります
松坂市は、あの松坂牛で有名な町で伊勢地方の中心的な大きな町です
1.0キスシーンのある映画は小津映画でもいやで。
イメージとして小津安二郎監督はキスシーンは撮影しない人だと思っていたのに、若尾文子と川口浩が3度も4度もキスシーンがあったのには残念な気がした。ただ、たぶらかすつもりが本気になるというのは両者とも純粋だった。男の身勝手でかわいそうなのは杉村春子だろう。京マチ子はきりりとしてりりしい。
5.0神映画
凡庸な筋立ての上に神々しいカットの連べ打ちでため息ばかりでていると予想外の躍動感に美し過ぎて涙が出てくるという作品。カラーということはもちろん宮川一夫、という組み合わせですかね。
5.0カラー作品でも小津安二郎の影(闇)の使い方は秀逸、無機質な小道具を...
カラー作品でも小津安二郎の影(闇)の使い方は秀逸、無機質な小道具を擬人化したり、鏡のなかに映した顔の表情を巧みに入れたり、赤の使い方が素晴らしかったり、何度観ても見事という他ない。
他の小津作品には少ない、感情をぶつけ合うシーンもいいですね。私にとっては小津作品のなかではベストワンです。
3.5セルフカバーは今ひとつ
本作は小津作品にしては毛色が違うな、なんか若々しいな、と思って鑑賞したいましたが、セルフカバーでした。もともと戦前に作ったやつをリメイクしたものとのこと。
だからか、やはり異質感ありますね〜。そもそもいきなり旅回り一座とその愛人と子どもの話という、アッパーミドル層大好きっ子の小津ちゃんらしくない舞台設定にびっくり。また、主人公の親方が歌舞伎の方なので、異様な迫力があり、観始めはぜんぜん馴染みませんでした。
登場人物もあまり馴染まず。京マチ子の下品な妖艶さが苦手で、うわ〜って感じでした。ケン月影のエロ劇画の熟女みたい。それだけ説得力があるんですが、またやってることがアホらしすぎる。
親方もあのタイミングでカムアウトしてもねぇ、なんて感じて物語にはさっぱり乗れず。
オチも、まぁ浮草って感じでしたね。
個人的に、小津ちゃん映画に期待するものは喪失を乗り越えて行く人間の偉大さとか、豊かな情緒的なつながりとか、その豊かさを奪い去るシステムへの怒りです。本作は物語もテーマもかなりありきたりで、私が好む小津ちゃんの旨味があまりなかったので、いまひとつに感じました。
まぁ、ベタ展開とベタなギャグは面白く、後半は退屈せず面白かったです。
終盤に杉村春子先生がついにカリスマ性を発揮し、めちゃ見応えありました。あと、三井弘次が良かったです。前から思っていましたが、声が超いいです。若尾文子は美しかったですが、キャラに命がなかったので、残るもの特になかったです。
さんのブロックを解除しますか?
さんをブロック
ブロックすると下記の制限がかかります。
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