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2020年8月29日 22:00
[映画.com ニュース] 映画を作るために必要な「撮影」や「編集」が、いかなる発展や技術的進化を遂げていったのか? それを知るならば、前者には「ビジョンズ・オブ・ライト 光の魔術師たち」(92)、そして後者には「カッティング・エッジ 映画編集のすべて」(04)という優れたドキュメンタリーがある。しかし「音響」に関しては該当する作品が見当たらず(音楽のみに絞れば「すばらしき映画音楽たち」があるが)、その重要性がいかに軽んじられてきたのかを暗に示している。
このドキュメンタリーはそんな映画音響という分野を徹底解説していく、遅れてきた良作だ。物語の導き手となる“セリフ”、作品を迫力あるものにする“効果音”、そして感情を高めていく“音楽”など、それらの発展について述べ、新旧の名作にアクセスして、そこに関わってきた著名な映画人たちに取材を敢行。映画において音が果たす役割を掘り起こしていく。
映画はその昔、劇場で生演奏し、音を発するスタイルだった。やがてフィルムに記録された音を同時に再生するサウンドトラック(*1)が生まれ、それはモノラルからステレオへ、さらに立体的なサラウンドへと表現域を拡げ、より精巧な音が映画に加えられる可能性を示してきた。本作はこうした流れが生んだ3人の革新的創造者--「地獄の黙示録」(79)で5.1チャンネルサラウンドの開発に寄与したウォルター・マーチ、「スター・ウォーズ」サーガで独創的な効果音を生み出したベン・バート、そしてピクサーやスピルバーグ監督の作品を手がけ、デジタル時代の音響効果を確立させたゲイリー・ライドストロームといったサウンドデザイナーに接写し、1970年代における作家主義の勃興がもたらした音響の熟成を明瞭にする。
また驚くと共に感心するのが、一般的に「スター・ウォーズ」(77)だと思われがちなドルビーステレオ(*2)の起点を「スター誕生」(76)と正しく位置づけ、主演/製作総指揮のバーブラ・ストライサンドに証言を求めているところだ。音の包囲が臨場感をもたらすと睨んだ彼女はドルビーラボラトリーズにかけあい、当時最新だったこのフォーマットを採用している。そんなバーブラの勇気と踏み込みを布石とし、近年、優秀な女性サウンドデザイナーが台頭していることへの言及を、じつに説得力あるものにしているのだ。
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