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2026年2月25日 19:30
新潟市で開催中の第4回新潟国際アニメーション映画祭で、岩井澤健治監督が率いるアニメーション制作会社ロックンロール・マウンテンが第4回大川博賞を授与され、「ひゃくえむ。」が2月25日上映された。上映後には、岩井澤監督と開志専門職大学で教鞭をとる脚本家の村井さだゆき氏によるトークセッションが行われた。
大川博賞は、アニメーション文化の発展に寄与し、制作の未来を切り開くスタジオおよびプロデューサーの仕事を顕彰するもので、今回「ひゃくえむ。」の制作などを通じて、アニメーション業界にて新たなチャレンジを行った功績に対し贈られた。また岩井澤監督は、鈴木竜也監督「無名の人生」でもプロデュースを担当するなど、若い才能を後押しすることにも積極的で、既存の枠組みにとらわれない開かれた制作姿勢と、才能あるクリエイターの能力を最大限に引き出すプロデュースワークが高く評価されている。
制作会社ロックンロール・マウンテンは、岩井澤監督が、2020年1月に法人化。「もともとは個人の事務所としてやっていました。『ひゃくえむ。』の企画の話をいただいてから、人を増やしてスタジオの形にしました。当時は(ほかの制作)スタジオの空きがなかったので、『じゃあ自分で作ります』と立ち上げました」と、その成り立ちを説明する。
その後、18歳で「網走番外地」シリーズや「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」などで知られる石井輝男監督のもとで実写映画のスタッフとして映画界に足を踏み入れた岩井澤監督のキャリアの変遷を辿る話題に。「デザインの専門学校に通っていた頃、そこに映画スタッフ募集のチラシが貼ってあったんです。石井監督のことは詳しく知りませんでしたが、プロの映画現場に行けるというのが魅力で応募しました。面白そうだと思ったのがきっかけです」と振り返り、アニメーションで作品を作ろうと考えたきっかけをこう説明する。
「実写の現場で働きながら、いつか監督になりたいと思っていました。自主制作もしていましたが、若さもあって完成させられなかった。それが小さな挫折でした。でも名刺代わりになる作品は作りたいと思っていて。子どもの頃から絵を描くのが好きで、小中学生の頃は漫画家になりたいと思っていました。実写の経験と絵を組み合わせれば、映像作品になるのではないかと考えたんです。当時は(アニメーション制作の)手法も知らず、ロトスコープという技法を使ってアニメーションを作り始めました。同世代に実写で面白い作品を作っている人がたくさんいて、このままでは勝負できないと感じたことも大きいです。自分が勝負できる場所を探して、アニメーションに行き着いたという感じです」
アニメーションの分野で「ここなら勝負できる」と思った理由は何だったのか? と問われると「誤解を招くかもしれませんが、当時はアニメーションにはライバルが少ないと感じました。実写は、次々と若くて才能ある監督が出てきて、やり尽くされている印象がありましたが、アニメーションは制作に時間がかかる分、作っている人が少なかった。ここなら戦えるかもしれないと思ったんです。今の商業アニメーションの世界でも同じで、意外とライバルは少ないです。アニメーションは制作本数自体が少ないですし、若い才能が上をどんどん押し上げる構造にはなっていない印象があります」と回答した。
トークの聞き手を務めた村井氏は「PERFECT BLUE」「千年女優」(今敏監督)、「スチームボーイ」「蟲師」(大友克洋監督)の脚本や、TVアニメ「魍魎の匣」「夏目友人帳」「シドニアの騎士」「十二大戦」などのシリーズ構成を担当、実写、アニメを問わず幅広いジャンルで活躍していることから、岩井澤監督が村井氏に「ひゃくえむ。」の感想を尋ねた。
村井氏は「ラストについて、どこで決着するのか気になって観ていました」と述べ、最終的に最も良い形で決着したと感じました。ただ、そこへ持っていくのは難しい。途中のセリフがきちんと積み重なっていないと、あのラストには行けません。個々人の思いがこもったセリフが入っているからこそ感動できる。非常に良い脚本と演出だったと思います」と岩井澤監督の健闘を称えた。
この日は平日の上映にもかかわらず数多くの観客が訪れ、トークイベント会場はすぐに満席となり、立ち見客の姿も。関西から訪れたという観客もおり、本映画祭と作品への関心の高さをうかがわせた。
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