初夏の「臨時夜行列車」にサラリーマンが群がる「究極のタイパ旅」凄まじい倍率を制する方法
定期運行を維持する唯一の寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」のプラチナチケット化が極まる中、JRや大手私鉄が運行する「臨時夜行列車」が今、中高年や鉄道ファンの間で空前の争奪戦の様相を呈している。かつての「ムーンライトながら」などを彷彿させるノスタルジーと、リーズナブルな料金で乗れるコスパの良さが最大の魅力だ。
今夏のラインナップは実に多彩。定番の東武鉄道「尾瀬夜行23:45」(浅草⇒会津高原尾瀬口/6月5日~10月16日の金土曜など計32日)を筆頭に、JR東日本の「臨時特急アルプス」(新宿⇒白馬/7月17日、8月7日、9月18日)、「ナイトエクスプレス信州」(新宿⇒長野/7月24日・31日)、「谷川岳山開き」(上野⇒土合/7月4日)が運行。
関西では紀伊半島を目指すJR西日本の「WEST EXPRESS 銀河」(京都⇒新宮/7~9月の月・金曜のみ。お盆期間は除く)や近鉄の「ミッドナイトひのとり」(近鉄難波⇒近鉄名古屋/7月19日・8月15日)などに熱視線が注がれている。
夜行列車トレンドに詳しい、旅行ライターの高島昌俊氏が、争奪戦となるワケを明かす。
「金曜の夜に首都圏や関西を発ち、車中泊を経て土曜の早朝に目的地へ直行できます。貴重な有休を消費せずに週末をフル活用できる『究極のタイパ旅』であることが、多忙なビジネスマンのハートに刺さっているのでしょう」
観光を全力で楽しむための「快眠3点セット」
しかしこれらはどれも、凄まじい倍率。そこで高島氏が伝授するのは、席を勝ち取るための裏ワザだ。
「JRの場合、発売開始となる乗車1カ月前の午前10時ジャストに、駅の『みどりの窓口』の端末を叩いてもらう通称『10時打ち』が基本の攻略術。事前に申込書を書いて駅員に渡し、時報とともにエンターキーを押してもらうプロの技です。ただし、主要ターミナル駅は外国人旅行者などで混んでいるため、最近はネット予約の活用もオススメです」
ただし、運良くプラチナシートを確保できたとしても、狭い座席での車中泊にはそれなりの覚悟と対策が求められる。高島氏が続ける。
「翌日の観光を全力で楽しむための『快眠セット』は必須。膨らませるタイプではなく、ホールド力の高いU字型のネックピローや遮光性の高いアイマスク、そして車内の走行音を遮断するノイズキャンセリングイヤホンは三種の神器です。これでシートが狭くとも、睡眠の質は劇的に上がりますよ」
金曜のオフィスを脱出し、夜の闇を走る列車に身を委ねる極上の非日常。したたかな労働戦士たちは緻密な戦略でプラチナ切符を掴み取り、初夏の日本を賢く駆け抜けるのだ。
(滝川与一)
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