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⇱ ナリタジュンヤがはじめて語った、自身の「原点」──「Hometown」で描いた、生まれ育った街の情景 - OTOTOY


2024/08/21 12:00

ナリタジュンヤがはじめて語った、自身の「原点」──「Hometown」で描いた、生まれ育った街の情景

ナリタジュンヤ

シンガー・ソングライター、ナリタジュンヤがデジタル・シングル「Hometown」をリリースした。ギター・サウンドが爽やかな風を運ぶ表題曲“Hometown”と、弾き語りを軸に丁寧な情景描写をみせるカップリング曲“Memories”。そのどちらもがナリタの生まれ育った街の風景を描いている。今回のインタヴューでこれまでのナリタの音楽活動を辿っていくと、必ずしも順風満帆に歩んできたわけではないことが伺えた。その都度立ち止まり、自身を見つめる。そうすることでしか乗り越えられない山があり、開かれない景色がある。今作は1週間ほどの山籠りのなか制作し、その過程のなかで新たな視点も芽生えたという。過去の自分、さらには未来の自分を他人として捉えられたことで「他人」という存在を強く意識するようになったそうだ。故郷、記憶、自分、他人──。そのあわいを楽曲が縫っていく。いつだって、過ぎていった記憶のなかに宝物は眠っているのだ。(編集部)

爽やかなバンド・サウンドと抒情的な弾き語りの最新シングル


ナリタジュンヤ - Hometown (Lyric Video)
ナリタジュンヤ - Hometown (Lyric Video)

INTERVIEW : ナリタジュンヤ


終始一貫、迫力のバンド・サウンドで前に進む “Hometown” 、対照的に抒情的で、時折立ち止まって風景をスケッチしているような“Memories”。シンガー・ソングライター、ナリタジュンヤが約1年4ヶ月ぶりにリリースする配信シングル「Hometown」は、2曲とも彼が生まれ育った街の情景が描かれているという。ただ、そこには時代や場所を特定する言葉はなく、それ故にどんな人の心象風景にも重なる普遍的な故郷であり思い出が歌われた作品となっている。今作に至るまでの道のりと音楽活動に抱いてきた思いについて、レコーディング、ミックス、マスタリングを手掛けた向啓介に同席いただき、ナリタジュンヤを掘り下げた。

取材・文 : 岡本貴之
写真 : 北野翔也

山籠りをして制作した“Hometown”と“Memories”

――昨年、初のバンド形態でのワンマン・ライヴを開催したとのことですが、今作はそのバンド・メンバーで作った曲なんですか。

ナリタジュンヤ(以下、ナリタ):そうです。ドラムのワタナベチヒロさん、ベースのヤノアツシさんと、ギターは僕が弾きました。ファースト・アルバム『0630』は、僕の弾き語りをベースに肉付けした作品で、セカンド・アルバム『MEMORABLE』は、DTMで作ってみたり環境音を入れてみたりと、違ったアプローチに挑戦しました。そこから次の作品を考えたときに、バンド・セットのナリタジュンヤの熱量に合うような曲にしたくて、1曲目に“Hometown”を持ってきたんです。

――“Hometown”がA面、“Memories”がB面という感じですよね。歌詞ではそれぞれ地元の風景や、ご自身のルーツが描かれていると思いますが、こういうテーマになったのはどうしてですか。

ナリタ:このシングルを作るにあたって、僕が去年の10月ぐらいに1週間ぐらい山籠もりをしてたんですよ。

――山籠もりとは?

ナリタ:僕の地元の親友が水道業をやっていて、昔そこの資材置き場をバンドの練習場として使っていたんです。その小屋に1週間ぐらい籠りに行きました。1日中散歩して過ごしていたら、友だちと日が暮れるまで喋っていたこととか昔のことをいろいろ思い出して。それでこの2曲ができたので、セットでシングルとして出すことにしたんです。


――どんな小屋かすごく気になります(笑)。出身は愛知県豊川市ということですが、どういう環境で育って音楽をやるようになったのか教えて下さい。

ナリタ:海も近くて小さい山もいくつかある街に住んでいました。生まれてからそこで育って、ずっとサッカーをやっていたんですけど高校生でバンドに目覚めて。

――資料を拝見すると、オアシスが出演していたテレビCM曲に衝撃を受けたのが原体験らしいですけど、それはいつ頃のことなんですか?

ナリタ:中学校1年生の時にウォークマンのCMで流れていた曲に衝撃を受けたんです。当時ってShazamとかないじゃないですか? だからサビのメロディーを忘れないように永遠に口ずさんでいて(笑)。母親に「この曲は何? 」って歌って聞いてもわからなくて、2週間ぐらい経ったときに、もう1回そのCMが流れて、それがオアシスの“Lyla”っていう曲だということを知ったんです。その年のクリスマスにオアシスのベスト盤『Stop the Clocks』とCDプレーヤーを買ってもらって、そればっかり聴いてました。

――それをきっかけに自分でも音楽をやるようになったんですか。

ナリタ:親戚の集まりがあったときに、バンドに興味があることを話したら、親戚のおじさんが酔っ払った勢いでアコースティック・ギターを買ってくれたんですよ。今回の2曲で使ったのもそのギターです。他にもギターはあるんですけど、それが合ってるなと思って。

――それだけ、愛着があるギターなわけですね。

ナリタ:そうですね。高校生の頃はエレキ・ギターを買ってアンプで爆音を鳴らすようになったので、ほったらかし気味でしたけど(笑)。外でやる音楽と違って、アコギは部屋でつま弾いたり曲を作ったりするための楽器という感じだったんです。それがいま僕ひとりになったことで、曲作りの中心にアコギがある感覚です。

――オアシスを聴くようになってからは、洋楽をもっと聴くようになったんですか?

ナリタ:マルーン5のファースト・アルバム『Songs About Jane』をオアシスと一緒に買ってもらって、聴いてました。中学校入ってからは友だちと色んな音楽をシェアするようになっていたので僕もオアシスを勧めるんですけど、「なんか英語じゃん」みたいな感じで誰にも刺さらず(笑)。なので、オアシスはずっと自分ひとりだけのものだったんです。

――オアシスみたいなバンドをやりたいって思わなかったですか?

ナリタ:思ってました。僕はリアム・ギャラガーになりたくて、バンド・メンバーも募集していたんですけど集まらなくて。高校を出て就職したあとに組んだバンドもどちらかというとラウド系のバンドで。そのあと上京していろいろ模索した結果、「やっぱりオアシスだな」と原点回帰したんです。

この記事の筆者
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岡本 貴之

OTOTOYライター講座出身のフリーライター。音楽の他、グルメ 、様々なカルチャーの体験レポート等。忘れらんねえよ『週刊青春』特製本取材・構成等を担当。著書『I LIKE YOU 忌野清志郎』(河出書房新社)発売中。同じ誕生日はアジャ・コングと内山君。

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石川 幸穂
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