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2021/11/17 18:00

ギタリストではなく、ひとりのアーティストとしての表現──25曲で語るDURANの人間性と感受性

稲葉浩志(B'z)、スガシカオ、小袋成彬、藤井風のギタリストとしても活躍し、2018年にはソロ・デビューを遂げたDURAN。「日本の偉大なギタリストの一人」と称されているように、今作を再生すると隙のない巧妙なギター・プレイがまず耳に入ってくる。そしてだんだんと、ギタリストとしての衝動性、コロナ禍で感じた孤独とフィーチャリングゲストである906、KenKenらとの温かな繋がり、社会問題からも目を背けない誠実さ...そういったDURANのこれまでの人生が音楽で赤裸々にで語られていることに気づく。このアルバムでの表現はギタリストという“プレイヤー”視点ではなく、DURANというひとりの“アーティスト”によるものだ。「音楽家って、結局音楽でしか救われない」────DURANによる自分自身への救いの歌が、今度は誰かの支えにつながることを願っている。

DURANの新作音源はこちら


INTERVIEW : DURAN

前代未聞、全25曲が1枚に収録されたDURANのソロ・セカンド・アルバム『Kaleido Garden』。コロナ禍の不自由な活動を経て自身のルーツを見つめ、いま世の中で起きている見過ごせない出来事と向き合った結果、1分前後のインストや会話なども含めてあらゆる角度から人間・DURANそのものを知ることができる作品だ。また、そのサウンドは現代の所謂ギター・ロックとは思いっきりかけ離れたもので、全編に渡りジミ・ヘンドリックスを彷彿とさせる強烈無比なリフ、ストラトキャスターの独特な色気のある音色を思う存分楽しむことができる。「葬式で流してもらっても恥ずかしくないような音楽をちゃんと残しておきたかった」という渾身作への想いを聞かせてもらった。

インタヴュー&文 : 岡本貴之

葬式で流してもらっても恥ずかしくないような音楽

──『Kaleido Garden』は、前作『FACE』から約3年半ぶりのアルバムとなりますが、昨年12月にはすでにアルバムのリリースを告知していましたよね?

DURAN : そうですね。そろそろ出さなきゃなというタイミングだったので。その時点で曲は何曲かあって、あとはスタジオにバンド・メンバーを呼んで録るだけという状態になってました。

──この1年は精力的に楽曲の配信もされていた印象ですが、コロナ禍の影響も大きかったですか。

DURAN : 影響は大きかったですね。だってライヴもないし、そもそも人とも会わないし。ずっと人と一緒に演奏して育ってきたから、「何のために生きてるんだろう」っていう感覚になっちゃいましたね。

──そこからどうやって前向きに制作に向かったのでしょう。

DURAN : いつどうなるかもわからなかったので、葬式で流してもらっても恥ずかしくないような音楽をちゃんと残しておきたいなと思うようになっちゃって(笑)。結構、ミュージシャンはみんな考えたと思うんですよね。そう考えたら、どんどん曲も書けました。

──リモートで曲を完成させるミュージシャンも増えたと思います。

DURAN : いろんなタイプ、やり方があるからそれはそれでいいと思うんだけど、僕は練習も家でひとりでやったこともなくて、スタジオでドラマーとやったりすることが多かったんです。僕はフィリピンで育ったんですけど、ガレージに楽器を入れて一緒に演奏したりしていたので。もちろん、リモートで曲を作ったこともあるんですけど、「葬式に流してほしい自分の曲」となったら、やっぱりそういう自分のルーツが入ってる音源にしたいなと思ってスタジオにメンバーを呼んで、ほぼ一発録りで作りました。

──前作では、打ち込みもやってますね。

DURAN : 僕はこれまでバンドを転々としていて、ミュージシャン仲間を集めて一緒に作るのは散々やってきたので、ソロをやるとなったときに1回全部自分でやろうと思ったんです。

──今作とはだいぶ印象が違いました。

DURAN : そうですね(笑)。父親がベーシストなんですけど、ロックはもちろんR&Bとか、プリンスとかあのあたりの音楽を聴いて育ってきたので、自分が影響を受けてきたルーツを1回混ぜてみようかなと思って作ったのがファースト・アルバムだったんです。

──それもあって、今回はゴリゴリのロック・ギターを弾いて歌いたいという感じですか?

DURAN : そうです。最近はリフが先行している音楽がほとんどなくなっちゃったし、僕みたいなやつって絶滅危惧種だと思っていて。でもまあ、いなくなっても誰も困らないし、でもないとちょっと寂しいし。僕がいちばん得意な音楽はリフものロックなんだなって思ったらこうなりました。

──確かに、久しぶりにこういう新譜を聴きました。ギター・ソロを弾く人があんまりいないですもんね。

DURAN : ですよね(笑)。もう、90年代後半からギター・ソロっていうのはあんまり弾かないバンドが多いですよね。まあそれはそれでいいんですけど。

──音の残響とか、ジミ・ヘンドリックス(以下・ジミヘン)を思わせるギターをあえて出してるんだろうなって思いました。やはりご自分のルーツを表現するとこういう音になりますか。

DURAN : そうですね。今回、バンドで一発録りして、エディットできない状況で録音したんです。僕はドラムもひとつの楽器として捉えているので、バラバラにマイクを立てて録るのは不自然だなと思って、ドラムもマイク2、3本で録ったんです。そうすると全部音が被るから、エディットできないんですよ。ミックス、マスタリングも極力コンプをかけないで、バンドで一発録りしたダイナミクスを活かした結果こういう音になったんです。

──オーバーダビングもほとんどしていない?

DURAN : いや、ギターをもう1本を入れたいなというときとか、ちょっとした鍵盤を入れたりはしています。

──ギタリストとしては、ストラトキャスターへのこだわりが強いですか?

DURAN : ストラトしか持ってないです(笑)。

──ジミヘンの他にストラトを弾くギタリストってどんな人が好きなんですか。

DURAN : エリック・クラプトンとかですかね。そっちの年代の音楽ばかり聴いてきちゃったので。

──ギターの音と見た目で言うと、スティーヴィー・レイ・ヴォーンとかロリー・ギャラガーとかも好きなのかなと。

DURAN : ああ~、もう大好きです。ストラトってじゃじゃ馬な楽器ではあるんですけど、またそこがおもしろいですね。最近のギターって、すごくモノが良いので、なんとなく綺麗に良い音に絶対になるんですよ。でもストラトって個体差があるので、ものすごくむずかしいときもあるし、ポンコツみたいな音しか出ないときもあるし、それがすごくおもしろいんですよ。シングルコイル(のピックアップ)のストラトって、ちゃんとノイズがカッコイイんですよね。今回のアルバムでも、音を出してないときのノイズとか、切らないでそのまま残してあります。

この記事の筆者
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岡本 貴之

OTOTOYライター講座出身のフリーライター。音楽の他、グルメ 、様々なカルチャーの体験レポート等。忘れらんねえよ『週刊青春』特製本取材・構成等を担当。著書『I LIKE YOU 忌野清志郎』(河出書房新社)発売中。同じ誕生日はアジャ・コングと内山君。

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梶野 有希

1998年生まれ。誕生日は徳川家康と一緒です。カルチャーメディア『DIGLE MAGAZINE』でライター・編集を担当し、2021年1月よりOTOTOYに入社しました。インディーからメジャーまで邦ロックばかり聴いています。

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