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2024/01/26 18:00

熱狂と混乱が共在するロマンをただ求めて──集合体の上で転がり続けるthe dadadadys

the dadadadys

本日、2024年1月26日。tetoの改名からちょうど2年が経った。the dadadadysと新たに名付けられたこのバンドとどう向き合ったらいいのか。前身時代からのリスナーのなかには、そう戸惑う者も少なくなかったはずだ。tetoからthe dadadadys、そして現在に至るまで。この変遷のなかで5人のメンバーはなにを感じていたのだろう。過去に立ち返りながらも“いま“と向き合った今回の取材は、たまにヒリヒリしながらも、the dadadadysの信念に迫る重要な時間となった。

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INTERVIEW : the dadadadys


天邪鬼か照れ隠しか、対話になると話をはぐらかすが、歌のなかでは赤裸々すぎるほど過去の痛みと向き合う人。小池貞利のことをずっとそのように見てきた。前身バンドteto時代のことだ。しかし、the dadadadysになり、頼もしいメンバーが次々と揃っていくと、小池の個人的追憶は薄れていく。いまこの瞬間しか見ていないロックンロールがハイテンションで次々と連打され、昨年には音像を大きく変えたtetoのセルフ・カヴァーも登場。あれだけ切実だった少年はどこにいったのだろうと思っていた。連続配信リリース予定だったシングルのひとつが、紆余曲折を経て3曲の新曲になった今回、ようやくじっくり聞くことができた。小池ひとりにではなく、全員に話を聞けたこともよかったのだと思う。

取材・文 : 石井恵梨子
写真:小杉歩

見る側もやる側も、唯一ロマンを持ってなきゃいけないバンド

──5人全員のインタビューってよくあります?

小池貞利(Vo/Gt):や、あんまりないですね。みんな口下手なので。

──せっかくなので、スタートから2年が経ったthe dadadadysをそれぞれどう思っているのか聞いてみたいです。まずは佐藤さんから。

佐藤健一郎(Ba):dadadadysを、ですか? まぁ自分の誇りですかね。

小池:……一発目でそれ!?

儀間陽柄(Gt):もう締めの一言みたいな(笑)。

佐藤:まぁ俺は小池さんとtetoから一緒にいますけど、前身バンドのメンバーが抜けて、そこからまた頼りになるメンバーがしっかり揃って。やっぱり特別だなって感じてますね。

──最初にメンバーになったのはyuccoさんでした。

yucco(Dr):はい。tetoのサポートから入って改名と同時に正規メンバーになって。そこからツアーを何本かやって、だんだん完成形というか、この5人が形になってこれからも進んでいく印象が出てきましたね。

──小池さん、以前ototoyのインタビューで「女の子がひとり入るならギタリストをふたり加えた5人組にならなゃきゃと思った」と発言してますよね。

小池:そうなんですよ。男4人でやれなくなったから。

──tetoが?

小池:前の4人ではやれなくなったでしょ? そこから後出しジャンケンで同じ人数を揃えても、最初に「やるぞ!」って旗を掲げた男4人の形は絶対に越えられない。今後のバンド人生で4人っていうのは、かなり吹っ切れてからじゃないとやれないし、新しい形を作るなら絶対女の子が必要だと思ってた。で、女の子がいるバンドで(その担当が)ギターとかベースなのは、自分ではしっくりこなかった。自分がいちばんしっくり来る形が、戦隊モノみたいなイメージ。

──あぁ、紅一点の5人組なのか。

山岡錬(Gt):戦隊モノってひとりひとりに専用機があって、それが合体してデカくなるじゃないですか。そういうイメージは確かにこの5人にありますね。なんかデカくなってるし強くなってる。すごくバンド然としたものが強くなってきた。

儀間:うん、最初ボヤッとしてたものがだんだんクリアに見えてきた感じもあって。いいバンドになってきたのかなって思います。


──小池さんは、いまのthe dadadadysをどう思ってます?

小池:んー、なにかこれを目指して、みたいなものは特にないので。もう転がり続けるだけ。ただ、見る側もやる側も、唯一ロマンを持ってなきゃいけないバンドだなぁとは思います。最近、あんまりロマンを感じるバンドが少ないので、俺らがそうなんないといけない。で、やってる側はそれを見る側にも与えなきゃいけない。使命ですね、使命。いや、趣味でもいいです。

──だいぶ違うけど(笑)。

小池:でも、人がぶつかりあって生まれるもの。肉体的でも精神的でもいいけど、その熱狂だったり混乱みたいなもの。それがロマンじゃないですかね。これがロックンロール・バンドなんだよって認識を与えたい。認識されなくてもいいけど「あ、こういうのもあるんだ?」「こんな下世話なこと歌う人もいるのか?」って思ってくれたら嬉しい。

──あえて未整理なままを見せているところもあります? かっちり整理しない、ぐちゃぐちゃな熱狂や混乱。

小池:あえて、って言っちゃうと、それはもう意図的に作っちゃってますよね。だから考えてない。メンバーとそんな話もしない。ほんとその場で作って「これでいいんじゃねぇ?」みたいな感じ。練らない。練るっていうのは、めちゃめちゃ優先度が低いこと。

──その感覚はこのバンドになってから生まれたものですか?

佐藤:はっきりとは言えないけど、割合として、練らない比率は増えた気がします。それは人数とか、それぞれのベースの違いもあるし。

小池:そうだよね。5人って多いもん。簡単にまとまるわけがない(笑)。

──あとは、5人全員で鳴らす喜びを大事にしている。これ佐藤さんにはすごく失礼な話ですけど、tetoの時、小池さんひとりしか目に入らないライヴが多かったんですよ。この人の危うさや真剣さと対峙しなきゃ、みたいな気持ちが最初にあった。でもいまのライヴはムードが違って。

小池:もう、あんだけ向き合ってきたんだからいいでしょ、っていうのはある。そろそろ俺も楽にやらせてくれよっていう。で、真剣に向き合ったけど……向き合ったなら向き合っただけ、やっぱりどこかで見返りを求めてたから。それがあまりにもなさすぎて、結局世の中クソなんだなと思いましたねぇ。

──笑顔で言ってます(笑)。

小池:はい。これは笑顔で言うのが大切なこと。真剣な顔して言ってたら怖い人になっちゃう。

──いま、ちょっと気が楽になったところも?

小池:そうですね。それがいちばんじゃなくていい、って感じ。前はその核がいちばんだった気がするんだけど、いまはそれと並列で、もっと大切にしたい核が増えてる感じかな。もちろんね、俺も急に180度変われるわけではないけど。


この記事の編集者
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梶野 有希

1998年生まれ。誕生日は徳川家康と一緒です。カルチャーメディア『DIGLE MAGAZINE』でライター・編集を担当し、2021年1月よりOTOTOYに入社しました。インディーからメジャーまで邦ロックばかり聴いています。

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