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2024年5月、Vo./Gt.を担当する岡田太郎を中心に集まった6人組バンド、Giraffe John。スカやレゲエを軸としながらも、舞台音楽からジャズまで、メンバーそれぞれに異なるフィールドで培ってきたキャリアが掛け合わされた、予測不能な“ニュー・エモーショナル・ミュージック”を鳴らす。昨年より絶え間なく楽曲をリリースし、精力的な活動をみせるGiraffe Johnが目指すバンド像とは? 結成の経緯、良好なバンド内関係の秘訣、そして現在抱えるリアルな葛藤まで、岡田太郎、マルシェⅡ世(Dr.)、金澤力哉(Ba.)に語ってもらった。
Giraffe John、秋冬3部作を連続リリース!
Giraffe Johnがこれまで発表した楽曲を順番に聴いてみた。デビュー・シングルらしく華やかに打ち上がる “アウトサイド宇宙旅行” にはじまり、真夏の暑苦しさをラップと共に連呼する “あっついな”、秋の情景と心象風景を重ねて呟く “Autumn reminds”、号砲一発空高く広がって行くような “聴こえろファンファーレ!”、弾き語りから始まる最新曲 “Song to live” まで。様々なフィールドで活躍するメンバーによるスカ、レゲエ、ヒップホップなどをアレンジに取り入れたミクスチャー・サウンドの面白さは大きな聴きどころだ。その一方で、インナースペースに没入して行く印象の “アウトサイド宇宙旅行” を筆頭に、歌っている世界が気になった。今回、岡田太郎(Vo./Gt.)、 金澤力哉(Ba.)、マルシェⅡ世(Dr.)の3人にお集まりいただき話を訊いて行くうちに、話はリーダー岡田が抱える葛藤など、意外な展開へと進んで行った。是非、曲を聴きつつ読んで欲しい。
取材・文 : 岡本貴之
写真 : 大橋祐希
――Giraffe Johnは、それぞれが音楽活動をしている中で集まっているバンドなんですね。
岡田太郎(Vo./Gt.)(以下、岡田):そうです。僕とドラムのマルシェ(マルシェⅡ世)は元々地元(大阪)が一緒で、昔から一緒のバンドをやっていました。
マルシェⅡ世(Dr.)(以下、マルシェ):2011年ぐらいかな?その頃から一緒にやってましたね。
岡田:そのバンドが活動休止してから僕は舞台音楽のお仕事をするようになって、そこでマルシェにドラム叩いてもらったりしていたんです。2019年に舞台上でバンドで演奏する案件があったときにGiraffe Johnのベーシックになるバンドができたんです。リッキー(金澤)はそのために会った感じです。
金澤力哉(Ba.)(以下、金澤):僕はそのときに初めて一緒に演奏したんです。
岡田:ピアノの玲兎(れいと)君は舞台をやっていた繋がりでもともと知り合いだったんです。トロンボーンのヤマモトショウコちゃんも僕と出会ってから長くて、僕は大阪で、彼女は名古屋でスカバンドをやっていて、お互いのバンドで対バンしたり仲良くしていたんです。この5人で2019年に舞台をやったんですけど、そこに当時ショウコちゃんと一緒にバンドをやっていたテナーサックスのissaを加えたのがGiraffe Johnです。2年前ぐらいから話はあって、実際に動き出したのは2024年5月です。
――そのときにファースト・シングル “アウトサイド宇宙旅行”を聴くとスカ、レゲエ、ダブが前面に出ている印象ですけど、みなさんが共通して好きなジャンルなのでしょうか。
岡田:そうでもなくて、僕がスカとか1960年代のジャマイカの音楽が好きでルーツになっているんです。メンバーだとショウコちゃんもスカは好きだけど彼女は1980年代1990年代のネオスカって呼ばれる中のチープな音が好きだったり。
――岡田さんが舞台音楽をやるようになったのはどうしてなんですか。バンドより先に演劇への興味があったとか?
岡田:若干バンドが早いんですけど、大学1年ぐらいのとき、ふとした瞬間に演劇を知ってめっちゃのめり込んで、劇団に所属したんです。「何か面白いこと一緒にやりたいです!僕ができることは音楽だけなんで作らせてください!」って熱だけ持って行ってたら、なんか知らん間に、いわゆる劇伴ばっかりやってたっていう感じですね(笑)。1つの劇団に所属して作曲家としてやりながら俳優もやっていたんですけど、やっていくにつれていろんな他の劇団さんからお声がけいただいて。徐々に劇伴がお仕事になっていったんです。
――マルシェさんはどんな音楽が好きなのでしょうか。
マルシェ:僕はやしきたかじんしか聴いてこなかったです。
――大阪やなあ、という(笑)。本当ですか?
マルシェ:本当に好きなんですよ。昭和歌謡のイベントとかでドラムを叩かせてもらうこともありますし、どんなジャンルもやってました。僕は1人のドラマーとして東京に上京してきたんですけど、どんなジャンルでもどんな人でもいいから呼ばれたら行くっていう姿勢で、その人が伝えたいことにどうやって乗っかったらいいかっていうことしか考えてないんです。だから、自分がやりたいのは「ドラムを叩くこと」なんですよ。だから誰とでもどんなジャンルでもやれるようになりたいんです。
――なるほど。金澤さんはどんな音楽ルーツがありますか?
金澤:僕の音楽ルーツはビートルズで、ベースはレッチリから始めました。うちの親父も兄姉も音楽をやっていたので、自然とジャズやブルースとか古い音楽をやるようになったり、いろいろできるようになろうと思ってジャズとかファンクとかを混ぜたバンドをやってるときに、そのメンバーの友だちがお客さんとして連れてきたのが太郎さんだったんです。そこからさっきの話の舞台に繋がるんです。
――共演経歴を拝見すると、日野皓正さん、元キャロルの内海利勝さん、Awesome City Clubのサポートとか、世代もジャンルも幅広いですもんね。
金澤:そうですね、いろんな方々とやらせてもらってます。
岡田:リッキーはパッと見、ジャズの人だと思いがちなんですけど、ゴリゴリジャズ一直線じゃないベーシストなところがいいなと思いました。
――そういう意味では、幅広くいろんなことやってきたメンバーが集まっているんですね。
マルシェ:そうですね。今日来てない3人も全然違うもんね?
金澤:うん、全然違う。みんな色んな現場を掛け持ちしてますから。
――そうなるとスケジュール調整が大変ですけど、岡田さんがこのメンバーでバンドをやっていこうと思ったいちばんの理由はなんですか。
岡田:1つは僕がやろうと思ってる曲が多分あんまり他にないものじゃないかなと思っていて、それを世に出して聴いてもらいたいんです。もう1つはこのメンバーだとちょっとよくわかんない化学反応が起きるんですよね。自分がしっかり把握している音楽ジャンルの人じゃないからこそ、「あ、そういう感じのプレーになるんや?」みたいなところが面白かったり、このメンバーやから出せてることがあるなって。お仕事で1から10まで譜面で指定して弾いてもらうのではない面白さがあって、メンバーは面白いし、喋って飲んで楽しいし、「バンドってこういうことやんな?」と思ったんです(笑)。
金澤:割と真面目な意味で、(舞台バンドのとき)5人が集まったときに本当にすごいなと思ったのは、全員大酒飲みなんですよね。ただ楽しく飲める5人っていうのがあって、その後のバンドをやってない頃も忘年会やったりとかリモート飲みしたりとかしていたんです。それぐらい1つの仕事をともに駆け抜けた絆はあるかなっていうのは僕は感じました。
岡田:ゴリゴリの友達ってほんま、自分とマルシェぐらいなんだけど、じゃあ他のメンバーとはお仕事関係かっていうとそうでもないし。
――バンドでしかあり得ない関係みたいなことですか。
岡田:う~ん、バンドかどうかもよくわかってないんすけどね(笑)。 バンドって掛け持ちとかせん方がもっと強固になるんかなとか思ったりするんですけど、俺らそうじゃないしなとか。
マルシェ:1人1人、やりたいことがあるしね。
岡田:Giraffe Johnに専念してほしいとは思ってないです。そうしたら多分こんな音は出ないやろうし。
マルシェ:縛られた瞬間にやめます(笑)。たぶん、各々が他のことやってるからできることやなっていうふうには感じます。
金澤:感覚的には、「ただいま」っていう感じなんです。他の現場に行って帰ってくるホーム的な場所っていうか。
マルシェ:うん、そういう面もあるよね。逆に言うと、ここで得たものを違うところでも出せるので。
岡田:ホームっていうのは初耳やった。
――本格的に始まったのは去年だけど、10年やってるバンドみたいな話ですよね。
マルシェ:でも本当に、それぞれが10年違うところでやってきたものが、今ここで開いてるっていう感じもするんですよ。
岡田:正直、リーダーとしてはすごく模索してるんですよ。僕からも第三者から見ても「Giraffe Johnってこうだよね」っていうものがドーンとあればいいんですけど、僕自身は10年ぐらいバンドをやってなかった人間なので。僕なんかより、マルシェとかの方がきっと僕よりしっかりしたバンド像があると思っていて。そういう意味で、僕は他のメンバーを頼っているというか、「君の意見を聞かせて」みたいなところがあるんです。
OTOTOYライター講座出身のフリーライター。音楽の他、グルメ 、様々なカルチャーの体験レポート等。忘れらんねえよ『週刊青春』特製本取材・構成等を担当。著書『I LIKE YOU 忌野清志郎』(河出書房新社)発売中。同じ誕生日はアジャ・コングと内山君。
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