![]() |
VOOZH | about |
"REVIEWS"は「ココに来ればなにかしらおもしろい新譜に出会える」をモットーに、さまざまな書き手がここ数ヶ月の新譜からエッセンシャルな9枚を選びレヴューする本コーナー。今回はReal Soundなどの音楽メディアでも活躍中のライター、宮谷行美が洋楽を中心にオルタナティヴなロック+αのいま聴くべき作品9枚をレヴュー。
OTOTOY REVIEWS 062
『洋楽ロック(2023年07月)』
文 : 宮谷行美
前作『Somersault』から初のピアノ作品を挟み、6年ぶりとなるスタジオ・アルバムを発表した彼らは満を持して原点へと回帰した。彼らが築き上げたドリームポップの夢見心地、初期の頃から続くポストパンク性、そして前作からより際立つようになったネオアコ / ギターポップの温かさ。それらを優しく混ぜ合わせた楽曲たちは、昔の面影を感じさせつつもより洗練されたサウンドと響きを有し、彼らが確実に進化していることを痛感させる。特に「Don't Fade Away」や「Tough Love」は初期を強く思い出させる楽曲ながら、ダスティン・ペイサーの歌唱表現とバンドの細かなテクニックによって奥深い響きと立体感のある音楽に仕上がっている。きらきらと揺れるギターの心地良さと甘い微睡みは、真っ青な夏の情景にもよく似合う。
OTOTOYでの配信購入はコチラへ(ハイレゾ配信)
OTOTOYでの配信購入はコチラへ(ロスレス配信)
〈World Music〉から名門〈マタドール〉へ移籍後初のリリースとなる本作は、メンバー自身がプロデュース、レコーディング・エンジニアを務め、ミックスはビョークやデペッシュ・モードらを手がけるマルタ・サローニが担当。ジョイ・ディヴィジョン以降のポストパンクの系譜に連なる低体温でタイトな音像に詩的な歌を乗せたダークな世界観、そして随所から漂うクレイジーな香り。それだけで胸を鷲掴みにされるのだが、アルバム中盤では甘美なポップ・センスを発揮した楽曲も連なり、「Friends」では『In Utero』期のニルヴァーナを思わせるグランジ・サウンドまで鳴らす。最後にはまた新しい作風で、壮大なサウンドスケープで美しく終焉を飾る。姿が明かされても未だ謎の多い彼ら、掴み切れないその魅惑に引き込まれるばかり。
日本のポストパンク系のバンドのなかでもひときわ海外のサウンドとの親和性が高く、コアなファンを掴んで離さないリリーズ。本作は約9年ぶりのアルバム・リリースとなるが、モリッシーやジム・リードを想起させるKENTの甘くミステリアスなヴォーカルと歌うように鳴るKAZUYAのテクニカルなギター、そして彼らのポストパンク / ニューウェイヴへの美学はけして色褪せない。一方で、ベース、高松浩史(THE NOVEMBERS)、ドラム、宮内告典という布陣から成るリズム・セクションは、楽曲に重厚感と躍動感を生み出し、大胆に取り入れられたシンセとともに楽曲を色鮮やかに染め上げる。ブライアン・イーノ&ジョン・ケイル ”pinning Away” という独特なカヴァー選曲も含め、また一つ深みを増した彼らの“らしさ”が更新されてゆく。
音楽メディアにてライター/インタビュアーとして経験を重ね、現在はフリーランスで執筆活動を行う。坂本龍一『2020S』オフィシャル・ライターを務めたほか、書籍『シューゲイザー・ディスクガイドrevised edition』への寄稿、Real Sound、日刊サイゾーなどのWebメディアでの執筆、海外アーティストの国内盤CD解説などを担当。
1981年生まれ。ビヨンセとは1日違いで時差的に多分ほぼ一緒。渋谷区幡ヶ谷出身。2004年~2009年『remix』編集部で丁稚から編集者へ、LIQUIDROOM勤務やのらりくらりとふらふらとフリーを経て、2013年よりOTOTOY編集部所属、現在編集長。テクノあたりとダブステップあたり、ルーツ・レゲエ〜ダブあたり(そのあたりでライナーノーツなど多数)、その他では酒あたりと本あたり。
DJカルチャーとダンス・ミュージック、その歴史を理解するための決定的な1冊───書評『そして、みんなクレイジーになっていく 増補改訂版 DJカルチャーとクラブ・ミュージックの100年史―』
OTOTOY15周年特別対談(後編) : ミト(クラムボン)x 竹中直純(OTOTOY)──OTOTOYの15年と日本の音楽配信
OTOTOY15周年特別対談(前編) : ミト(クラムボン)x 竹中直純(OTOTOY)──OTOTOYの15年と日本の音楽配信
【In search of lost night】単純にクラブ流行ってますよね? : 2023年も夜の街へ繰り出す座談会、後編
【In search of lost night】単純にクラブ流行ってますよね? : 2023年も夜の街へ繰り出す座談会、前編
【ライヴレポート】坂本龍一、すべての日々を音にのせて。“いま”を生きる証を刻む〈Playing the Piano 2022〉レポート、そして新作アルバム『12』
高橋健太郎のOTO-TOY-LAB──ハイレゾ/PCオーディオ研究室【第21回】ワンランク上のデスクトップ環境を──DAC&ヘッドフォン・アンプ、iFi Audio NEO iDSD
狂おしいまでの音楽愛に導かれた、伝説の日本人ラテン・シンガーによる半生記──『YOSHIRO 〜世界を驚かせた伝説の日本人ラテン歌手〜』
お手頃価格で高音質、iFi ZEN DAC──高橋健太郎のOTO-TOY-LAB──ハイレゾ/PCオーディオ研究室【第19回】
mora qualitasで楽しむ、高音質ストリーミング〜ワイヤレス環境──高橋健太郎のOTO-TOY-LAB──ハイレゾ/PCオーデ
OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.76 - 2020 GUEST SPECIAL : NOOLIO'S CHOICE
対談 : VIDEOTAPEMUSIC x ロボ宙──豪華ヴォーカリストを迎えた4作目『The Secret Life of VIDEOTAPEMUSIC』
気になるあの問題がついに決着!?──YOUR SONG IS GOOD、結成20周年記念作『Sessions』をリリース