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──ここからは、ライター講座の受講生からの質問を代理で読ませていただきます。「『平成』は鮮やかな色が印象的でしたが、『心理』のジャケットはモノクロになっています。そこはなにか思惑がありましたか?」
折坂 : モノクロ写真を水に沈めているんですけど、それを撮っている写真自体はモノクロではないんです。微妙に、オレンジっぽい光や青っぽい光があったりしてよく見ると色があるみたいな感じになっているんですね。モノクロの私が沈んでいて、モノクロの層とカラーの層があるイメージなんです。私自身は、そこまでモノクロの写真ということではなくて、アルバムのなかにある“揺れ”を写真の多重的な層で表しています。ただ、『平成』ほど印象的な色をパーッと使うイメージは不思議と最初からなかったですね。気分的なものかもしれないですけど(笑)。
──「中村佳穂さんとのモーニング娘。「ザ☆ピ〜ス!」カヴァーについて。そもそもこの曲を選んだいきさつやアレンジはどのように進めたんですか?」
折坂 : もともと好きな曲で、当時私が小学生ぐらいでヒット曲として聴いていたんです。それを大人になってから居酒屋で聴いたとき、すごく泣けたんですよね。つんく♂さんは、聴いている人と歌っている人に対して、どういう風にあって欲しいのかをすごく考えている人だと、あの曲を聴いていると思うんです。なにかアクションをしたいと思ったときに、やるんだったらなるべく緊張する人とやろうというのは思っていて。中村佳穂さんをそんな風に言うのは、なんなんですけど(笑)。佳穂さんと話をしたときに、良い意味で打ち解けるのに時間がかかったんです。選挙って、そういう価値観の違う人とか話しづらい人同士がなにかを一緒に決めたり、違うものは違うものとしてありながら、だけど同じ場所に生きていて、それをどうするかっていう話だと思ったので。それで佳穂さんと何回か話して、「どうしようか?」ってセッションみたいに音を出しながら、「今だ!」って録ってもらった感じでした。結構、即興の部分があって、音を出したときもなにか不思議と合わなくてノリが違うのがおもしろくて。こういうテーマでやるなら理想的な形だなと思いながらやってました。
──「ルーツを改めて教えてください。いちばん最初に音楽をいいなと思った体験を含めてお話しいただきたいです。」
折坂 : 中学生の頃はリップスライムを聴いてましたね。最近同世代の人に聴いたら、みんな聴いていて。やっぱりおしゃれだったし楽曲も良かったので、すごく聴いてましたね。ルーツというと、音楽をはじめてライヴをやるようになってから出会ったものが多いのかな。巷で流れているものじゃないもので、進んで気に入ったもののなかでも、レディオヘッドはのめり込んだ音楽でした。歌という感覚で言うと、私が10代後半の頃に阿久悠さんが亡くなって追悼番組で当時の曲やライヴ映像が流れていて、そういうのを観ていた記憶がありますね。日本語詞とか歌謡曲みたいなものはそういうところから影響を受けたかなと思います。
──「圧倒的な歌声に何度も鳥肌が立ちました。さらにヴォーカリストとしての声の力強さや寄り添い感がとても心地良く、幸せに包まれました。折坂さんの声は唯一無二と感じますが、ご自身では声の出し方や表現方法にどのような工夫をされているのでしょうか? 独自の練習方法などありましたら教えてください。」
折坂 : ありがとうございます。最近声について思うのは、喉って精神的なものがすごくあるんですよね。昨日、途中で喉の調子があんまりよくない時間帯があったときに、たぶんこれで「まずいまずい」と思ってるとよりダメになっていくなと思って、ライヴ中に歌いながら治していくみたいな感じでやっていて。昨日のライヴを自分で褒めるとしたらそこなんですけど(笑)。気分的にも高揚していたり沈んでいたりすると声に影響があるので、なるべくその中間に気分を泳がせておくのが、いまの自分が声に対してできる、いちばん大きいことですね。
──「観客に強いメッセージを送るというよりは、自分たちの演奏を観てなにかを感じとってほしいという印象を覚えました。ライヴのときはどのような思いでステージに立っているのでしょうか。また、セットリストを組むときに意識していることはありますか?」
折坂 : 自分がお客さんだったら、ステージ上で起こってることでなにが観たいかと言ったら、“機微”だと思うんです。お客さんの前に立って緊張している様子とかそこから自分のものにしていく過程とか、どういう風に営みをしていくかという過程を観たいなと自分で思うので、なるべくそういう考えでいます。昔は歌う前に「これはこういう曲です」みたいなことを話したりしていたんですけど、そういうのもなくしちゃって。曲やアルバムについて言葉で説明するコーナーもなくしちゃったんですよね。だから、ただただその営みを観て欲しいかなあという感じでした。セットリストは、結構入念に考えたんです。自分で作って、それをやってみて違うなと思ったらみんなで相談して変えて。今回はセットリストの流れがよくできたかなと。セットリストについては、ひとつの物語、映画的に考えています。このシーンの次にこのシーンが来たらっていう風に、知らないうちに景色が変わっている感じというか。的をぼやかしたりフォーカスしたりということを緩やかにしていくようには心がけてます。だから、曲調というよりは歌詞のフォーカスの仕方がつながっていくようにセットリストを組んでいますね。
編集:梶野有希
折坂悠太は、鳥取生まれ、千葉県出身のシンガーソングライター。 平成元年生まれの折坂ならではの極私的な感性で時代を切り取りリリースされた前作『平成』は、2018年を代表する作品として、CDショップ大賞を受賞するなど、高い評価を受ける。 2019年には上野樹里主演、フジテレビ系月曜9時枠ドラマ『監察医 朝顔』主題歌に「朝顔」が抜擢され、2020年同ドラマのシーズン2の主題歌続投も行い、今年3月にはミニアルバム『朝顔』をリリースした。 また、佐藤快磨監督、仲野太賀主演の映画『泣く子はいねぇが』では自身初の映画主題歌・劇伴音楽も担当するほか、今年4月には、サントリー天然水、サントリー角ウイスキーのTV CMソングを担当するなど活躍の幅を広げている。 10月6日には、3年ぶりとなる新作アルバム『心理』をリリース。
■公式Twitter:https://twitter.com/madon36
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音楽評論家/ 音楽メディア『TURN』(turntokyo.com)エグゼクティヴ・プロデューサー/ 京都精華大学非常勤講師/ オトトイの学校 内 音楽ライター講座(https://ototoy.jp/school/ )講師/ α-STATION(FM京都)『Imaginary Line』(日曜21時〜)パーソナリティ/ 『Helga Press』主宰/ Twitterアカウント ▶︎ @shino_okamura / Instagram ▶︎ shino_okamura
OTOTOYライター講座出身のフリーライター。音楽の他、グルメ 、様々なカルチャーの体験レポート等。忘れらんねえよ『週刊青春』特製本取材・構成等を担当。著書『I LIKE YOU 忌野清志郎』(河出書房新社)発売中。同じ誕生日はアジャ・コングと内山君。
1998年生まれ。誕生日は徳川家康と一緒です。カルチャーメディア『DIGLE MAGAZINE』でライター・編集を担当し、2021年1月よりOTOTOYに入社しました。インディーからメジャーまで邦ロックばかり聴いています。
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