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アニメソングを軸に、ジャンルの壁や国境を越え、軽やかなスタンスで音楽への挑戦を続けているバンド、fhána。彼らが放つ最新アルバムは、結成前夜の2010年に制作された楽曲「Cipher」をタイトルに冠し、全2章仕立て、約75分にも及ぶ超大作となった。世界が激変する真っ只中の2019〜2022年をリアルタイムに記録した、時代のドキュメントとなっている今作。なぜ、このようなフルボリュームな作品になったのか、そして、いまの時代というものに対してどのような想いを抱いているのか、話を訊きました。
fhána、約75分にも及ぶ超大作
fhánaの最新アルバム『Cipher』は、希望のアルバムである。fhánaは、自分達ではどうすることもできない時代の変化に直面しながらも、宅録で楽曲を制作したり、オンラインならではのインタラクティヴな要素を詰め込んだライヴを行うなど、歩みを止めることなく動き続けてきた。この作品は、2019〜2022年という時代のドキュメントがコンセプトの作品でもあるが、一方でfhánaというアーティストのドキュメントでもあると思う。ぜひ、全2章、約75分にも及ぶ超大作のこのアルバムを、スキップすることなくどっぷりと最初から最後まで、聴いてみてほしい。もがきながらも希望を失うことなく何度でも立ち上がる、fhánaのアティテュードを感じることができるはずだ。
インタヴュー&文 : 西田健
──今回のアルバム『Cipher』の初回限定盤には、コロナ禍前に行われた〈where you are Tour 2019〉のライヴ映像と、2020年のオンラインライブの両方が収録されています。いまは、有観客でのライヴも行われていますが、〈where you are Tour 2019〉のときとライヴにおける心持ちの面で変化はありましたか?
kevin mitsunaga(以下、kevin) : 僕は人前でライヴする機会っていうのが単純に減って、「こんなに自分ライヴ好きだったんだ」って最近になって再認識しましたね。もちろん、〈where you are Tour 2019〉をやってるときは、2020年以降こういう感じの世の中になるとは誰も思ってなかったので。
yuxuki waga(以下、yuxuki) : kevinと同じように、「そういえばライヴってこんな空間だったな」と思っていました。お客さんが楽しそうにしてくれてるの見て「この空間いいな」と思っていたんですけど、いままで意識してそういうところまで見ていたかと言われたら、ちょっと違う感覚だったかもしれない。ライヴを楽しむこと自体の意味が変わってしまったというのがあります。
towana : 自分的には、コロナ禍に入った2020年の3月ぐらいから、気持ちが落ちてたんですよね。明日がどうなるのかわからない、歌がもう歌えなくなっちゃうんじゃないかという不安があったから、オンラインライヴもやりましたし。ちゃんと対面のツアーでみんなと会えたときに「自分がいちばん好きな時間はこれだったな」ってすごく実感して、この大切な空間を守っていかないといけないなと思いました。
佐藤純一(以下、佐藤) : 有観客ライヴも復活しましたけど、まだ基本的は拍手しかできないみたいな感じなんですよね。“愛のシュプリーム!”には、シンガロングも入ってたりするので、早く一緒に歌ったりできたらいいよなと思いますね。
──アルバムとして制作に動き出したのは、いつ頃からだったんでしょう?
佐藤 : 実はアルバム制作が始まったのは今年に入ってからなんですよ。Blu-rayに収録されているライヴ映像のMCのなかで「来年はアルバムを作ります」という話をしてるんですけど、TVアニメ『小林さんちのメイドラゴンS』の主題歌“愛のシュプリーム!”のリリースが様々な事情で後ろ倒しになってしまって。それだけじゃなく、さらにコロナ禍にも入って、2020年の時点で思い描いていたプランがゼロに戻ってしまったんですよね。コロナ禍でいろいろな予定が変わってしまったけど、活動自体が止まってしまったら本当にヤバいなと思っていました。
──fhánaさんは、コロナ禍でも精力的に動かれていた印象があります。
佐藤 : fhánaとしてもファンのみなさんにいろいろ提供していきたいっていう思いもあって、“Pathos”っていう曲をメンバー4人だけでリモートで作ったり、「いまはライヴでは歌えないから音源で一緒に歌おう」という趣旨でファンの方々から声を募集して“Ethos Choir caravan (feat. fhánamily)”という曲を作ったりしました。ほかにも、オンラインならではのおもしろさを出そうと思って、インタラクティヴ要素を入れたライヴをやったりして動いていたんですよね。そのなかでようやく去年の夏に“愛のシュプリーム!”がリリースできて。そのあとも色々あって、年が明けて2022年に入ってからようやくアルバムを作る流れがでてきました。
──今作は、2019年から2022年のドキュメント的なアルバムなんですよね。
佐藤 : もともとこのアルバムを作るときに、2019年の曲から時代をまたいでいるので、ドキュメント的なアルバムにはなるのかなと思っていたんですけど、その色がより濃くなった感じはします。もしかしたらコロナが終息したとしても、いろいろなあり方が変わってしまうんじゃないかとかみたいなことを考えてるときに、2月末に世界情勢が緊迫して、感染症の次は戦争がきてしまって。完全に世の中が変わったなかでの、時代の変化に対してのリアクションもアルバムには入っています。
──今作は17曲収録70分越えというかなりのボリュームのある作品です。近年のJ-POPの流れとして、40分程度のアルバムが多いなかで、かなり特殊なパッケージだと思っています。
佐藤 : むしろ、CDの収録限界の80分ぐらいにしてもいいんじゃないかと思っていました。THE 1975のアルバム『Notes On A Conditional Form』も80分近くあるんですよね。THE 1975も、1ヶ月置きくらいのペースで配信で出していたので、こんなに曲を先に出してアルバムはどうなるんだろうと思ったら、その倍ぐらい曲が入っていた。いまは、収録曲数を減らしてミニ・アルバムのほうがいいみたいな流れもあるわけですけど、逆に超大作みたいな感じもいいんじゃないかなと。
──なるほど。
佐藤 : でも、アルバムというものを出すからには、いままで以上に流れもきちんと考えなきゃいけないような気がしてたんですね。サブスクも配信もないレコードやCDの時代ではその通りの順番で聴くしかないじゃないですか。今は配信メインで単曲で自由に聴くのが当たり前な時代だからこそ、アルバムの意図した順番通りに聴くことに対して、昔よりも真剣に向かい合わないと意味がないというか。
yuxuki : 70、80分ずっと同じアルバム聴くのって、あんまり他のアーティストはやらないですよね。そういう意味では、いろんなアーティストが1回ぐらいやってもらってもいいんじゃないかと思ってます。こういうのって作り手が「それは要らない」って言ったら終わりだから。作る側が意図を持っていくのも大事なのかなという気はしています。
佐藤 : いまはいかに有名なプレイリストに曲が入って、たくさんの人に知ってもらうのが大事だと言われているんですけど、リスナーはお気に入りから選んで聴くことが多いらしくて。だから、プレイリストより、むしろお気に入りに入れてもらうことのほうが大事らしいんですよね。昔はマスに向けて広く浅く好きになってもらうみたいなことが大事だったけど、サブスクだと1回聴かれても1円とかそういう世界なので、繰り返し何度も聴いてもらわなきゃビジネスにおいても難しい。ということは、広く浅く好きになってもらっても、大量の人が1回聴くだけではあんまり意味がなくて、深く好きになってくれて何度も何度も繰り返し聴いてくれる人が生まれてはじめて、アーティストにも還元されてくるんですよね。そう意味でも、多くの人がお気に入りに入れてくれるような作品を作ろうと思っています。
1990年生まれ。熊本出身の九州男児。2019年までイベント業界で働きながら、福岡親不孝通りにてJ-POP、アニソンのDJ活動を行う。その後上京し、OTOTOY編集部にてアイドル、アニメ関連を中心に担当。映画、深夜ラジオが好き。
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